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BORDER【ドラマ】の感想

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2014年4月からテレビ朝日「木曜ドラマ」枠で放送された連続ドラマ「BORDER警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係」と、その続編として2017年に放送された「ドラマスペシャル BORDER 贖罪」の感想です。
ほか、スピンオフドラマ「BORDER 衝動〜検視官・比嘉ミカ〜」があるようですが、Prime Videoで有料レンタルだったのでまだ観ていません。

Prime Videoでは、連続ドラマはシーズン1として、同じページでシーズン2に切り替えるとドラマスペシャルを観ることができます。

結論から言うととても面白かったのですが、精神的に弱っている時は観ない方がいいかもしれません。かなり闇を見せられますし、自殺、死体、サイコパスの世界観、キリキリするような展開が次々と訪れ、息をつける要素はあまりないかもしれないです。

ミステリーやサスペンス好きはもちろんですが、哲学が好きな人も観るといいかもしれません。かなり考えさせられます。

主人公は正義感が強くがむしゃらに頑張る刑事、石川安吾。小栗旬さんが演じられています。

この作品は直木賞作家でもある金城一紀さんが、原案だけでなく脚本もみずから手がけられていますが、はじめから石川役は小栗旬さんをイメージして制作されたそうです。

どの登場人物のセリフも完成された美しい文章を読んでいるようで、まるで朗読劇のようだと感じましたが、脚本を作家さんが手がけられたと知り、納得しました。

正義感の強い石川は、ある事件の捜査中に銃で撃たれ、一命を取り留めますが弾丸は脳内に残ったままとなったことがきっかけで、死体と出会うと死者と会話できるという能力を身につけてしまいます。

普通の刑事ドラマは、主人公が犯人を追う中で、犯人は誰か、トリックはどうなっているかなどを謎解き要素としていますが、このドラマでは主人公が犯人を知るところから始まるのです。

死者から直接犯人を聞きながらも、捜査本部は犯人とは違った容疑者を追っているというジレンマの中で、闇の世界に生きる人たちの手を借りて違法な手段で犯人を逮捕するようになっていきます。

ただし、闇の世界に生きる人にも正義感はあり、ポリシーがある。ここで手を借りる闇の住人たちは、決して理解できない人たちではなく、むしろ応援したくなるような光を持っているのが面白いところ。

そうした生と死、光と闇、違法と合法、正義と悪、対極にあるように思えるものの境界「BORDER」で生きることになる石川が、だんだん正義のために闇に落ちていく様子を、小栗旬さんが臨場感を持って演じられていて、とても引き込まれていきます。

小栗旬さんはNHKの大河ドラマ「鎌倉殿の13人」でもダークヒーローを演じられていましたが、このドラマも北条義時に似た感じのダークヒーローのように思えます。

北条義時も周囲にキャラクターの立った仲間や家族たちがいて、ある意味では主人公でありながら登場人物の1人として陰で動いているところのある人間像でしたが、石川にも仲間たちができ、彼らのキャラクターが濃いために、より一層陰にいるように見えるという不思議なタイプの主人公だと感じました。

連続ドラマの最終話で、闇に落ち切ったまま終わってしまうのですが、その後のドラマスペシャルで石川がある意味闇から脱する姿を見ることができます。

Prime Videoで一気に観てしまったのですが、連続ドラマとドラマスペシャルの間が3年も空いているのですよね。多分、連続ドラマで終わっていたらモヤモヤが残ったでしょうが、スペシャルで回収されます。回収されるまで3年は長いな。

続けて観た時に全ての登場人物を違和感なく観ることができたのは、役者さんの努力が素晴らしいからだと感じます。とくに小栗旬さんは、闇堕ちしてやつれた石川を演じられているわけで、そこにまた戻すというのは大変だったのではと思います。

石川の能力は特殊ですが、彼は私たちと同じ普通の人で、だからこそ共感を生みやすいのかと感じます。
前述した通り、周りにいる人たちのキャラクターが濃いために、どこにでもいる普通の人に見えてしまうのがとても良いと思う。

挑発的で単細胞の相棒、青木崇高さん演じる立花雄馬は、挑発する顔や走る姿が滑稽で小学生っぽくて愛らしい。

特別検視官の波瑠さんが演じる比嘉ミカは、洞察力に優れており、石川のような能力はないが、それに近い感覚的なするどさを持ち合わせている。解剖の時にクラシックをかけるとか、決められたユニフォームを着ないとか、祖母が沖縄のユタだとか、人物のクセが強い。

上司である班長の市倉卓司は遠藤憲一さんが演じているのですが、渋くて的確で部下思いだけれど、もしかしたら石川を撃った犯人とつながっているかもしれない。

闇の世界で生きる情報屋、古田新太さん演じる赤井は、笑ゥせぇるすまんのような…いかにもな雰囲気のある人物だけれど、どこか闇に染まりきらないポリシーを感じる。古田新太さんの雰囲気がぴったり。

赤井に紹介されて協力者になるハッカーのサイモンとガーファンクルは、浜野謙太さんと野間口徹さんが演じているのですが、ものすごい強めのキャラクター。法律は守らないけれど、やはり闇に染まりきらないポリシーを持っていて、石川が心を許す友達になります。髪型や見た目をミュージシャンのサイモンとガーファンクルに寄せているような感じ。どうしてそうしたんだろう?

裏世界の便利屋スズキは滝藤賢一さんが演じています。やはり石川に共鳴し、赤井やサイモンとガーファンクルと共に正義を成す手伝いをすることに意義を見出している。やっていることは違法だけれど、仕事をきっちりとこなす職人のような魅力的な人。

連続ドラマの最後に登場する大森南朋さん演じる安藤周夫は、純粋な悪であり、石川を闇に引き摺り込もうと揺さぶる存在として登場しますが、彼は人を殺すことをまるで仕事や生きるのに欠かせないことのように行い、死んだ後も石川を言葉巧みに殺そうとする。彼を見ていると、何かのきっかけや生い立ちのせいでそうなったのではなく、生まれた時からそうした生き方が自然な人もいるのかもしれないと思わされる。

スペシャルで登場する満島真之介さん演じる原口知幸もしかり。

要は、各人物像が細かく考え込まれている上に、役者さんたちが主演もされている方ばかりなんですよね。みんな主人公のようにキャラが立っちゃうわけだ。

ストーリーは、石川を撃った犯人が明らかになり逮捕されても続いていきます。そこがゴールではないのです。
また、途中で政治家に犯人逮捕を邪魔されるストーリーが入りますが、そこも特に解決はされません。同じ刑事ドラマでも「相棒」などのように「巨悪を倒す」ということには重きが置かれていないように見えます。(後で気づいたのですが、同じ金城一紀さんが脚本をてがけたドラマ「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」の中で回収されています)

世の中にはさまざまな「BORDER」があるように見えますが、その多くは人間が作り出したもので、正義や悪、法律なんて時代や国によって変わる不確かなものだし、光と闇だって、本来は光が良いもので闇が悪いものではないはずです。闇に生きる深海魚はそれでありのまま等身大で豊かなはずだし。

そうした対比を視覚で表しているのも面白いところですね。例えば、石川の着ているスーツやネクタイが、闇に向かうたびに暗い色になっていくところや、國村隼さん演じる監察官が対照的に白いスーツを着ているところとか。彼は正義や光かというとそうかな?という存在。

純粋に「BORDER」を超越してみた時、自分は何を選択し、誰と、どこで、どう生きるか、どういう存在であるか、ということと向き合うことになる、ということでしょうか。地球や宇宙、世界が「BORDER」を生み出しているのではなく、人間が生み出しているもので、ある種の錯覚である。

そして、起きた出来事や選んだ選択肢の良し悪しも、死ぬまでに自分で評価を変える場合もあるし、死後人々が評価を変えることもある。

ストーリーの中でも、サイモンとガーファンクルは興味のままに選択したことで少年院に入れられるが、結果としてお互いに出会うことができて喜んでいるし、石川も絶対的な悪と自称する人物に出会い苦しんだ末に、出会ったことに感謝するという場面があります。

最後の石川の選択を、あなたはどう感じるでしょうか。

原案・脚本

金城一紀

監督

橋本一
波多野貴文

ゼネラルプロデューサー

松本基弘(テレビ朝日)

プロデューサー

山田兼司(テレビ朝日)
太田雅晴(5年D組)

音楽

川井憲次

主題歌

オープニング MAN WITH A MISSION「evils fall」(Sony Music Records)

出演

小栗旬 青木崇高 波瑠 古田新太 滝藤賢一 野間口徹 浜野謙太 遠藤憲一 山口祥行 升毅 北見敏之 中村達也 大森南朋 夙川アトム 金井勇太 駿河太郎 平田満 弓削智久 川籠石駿平 中村ゆりか 中村元気 満島真之介 國村隼 ほか

制作協力

5年D組

制作著作

テレビ朝日

テレ朝動画公式番組ページより引用 Wikipediaより引用

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